アトピー改善にはワセリンがおすすめ?ワセリンの種類と悪化させないための注意点

アトピーの代表的な症状の肌の赤味やつらいかゆみなどは、肌の乾燥が大きく関係しています。
そのため肌の保湿に効果があるといわれているワセリンは、アトピーの肌にも良いといわれているのです。
しかしワセリンの使い方を間違えると、肌の乾燥が改善しないどころかアトピーが悪化する可能性があるということをご存知でしょうか。
そこでアトピーの肌に塗るワセリンの種類や、知っておくべき注意点をご紹介します。
なぜワセリンでアトピーの改善効果があると言われるのか
まずアトピーが起こる原因は、未だ解明されていない部分が多いといわれています。
しかし、アトピーの代表的な症状である「かゆみ・湿疹」は、皮膚のバリア機能が低下して乾燥し、そこにダニやホコリなどのアレルゲンが侵入して起こるとされています。
皮膚のバリア機能とは肌が本来持っている機能で、アレルゲンや外気の有害物質などの刺激から肌を守ってくれることを指します。
アレルゲンだけでなくストレスなどの外的要因も重なると、肌のバリア機能が低下して乾燥や肌荒れをもたらします。
つまりアトピーの肌を改善するためには、「肌のバリア機能を正常に回復させる」ことが必要不可欠です。
そこでワセリンが持つ独自の効果が、アトピーの肌を改善する効果が期待できるといわれるポイントになります。
ワセリンは原料である石油を精製して不純物を取り除いてできる鉱物油なので、油分が肌の上で膜となって「肌を保護」してくれます。
つまりワセリンで保護膜を作ることにより「肌の水分の蒸発を防ぐ」こと、そして「アレルゲンからの刺激を保護」してくれることがアトピー改善の効果が期待できるのです。
ワセリンの種類
ワセリンにも種類があり、アトピーの肌に効果的な物を選ぶことが治療の第一歩です。
まず大まかに分ける「黄色ワセリン>白色ワセリン>プロペト>サンホワイト」と4種類あり、これは不純物が多い順に名称が異なります。
ワセリンの不純物は肌に刺激を与えることもあるので、人一倍刺激を受けやすいアトピーの肌には限りなく不純物を含まない物が望ましいといえます。
最初は白色ワセリンを使用し、それでも刺激がある、または効果が見られないならばプロペトかサンホワイトを選ぶようにしましょう。
ワセリンでアトピーが悪化した?使用時の注意点
ワセリンはアトピー改善の効果が期待できるのは確かですが、やみくもにワセリンを塗るだけではアトピーが悪化しかねません。
そこでアトピーを改善する目的でワセリンを使用する際に、知っておくべき注意点をご紹介します。
・重度のアトピーには合わない
アトピーの症状が中等度~重度である方は、ワセリンを塗ることでかゆみが増す傾向があるといわれています。
中等度~重度のアトピーの症状は、乾燥がひどく皮が剥けてはがれ落ちたり、かゆみが強いので掻きむしって肌の赤味が増すという症状が一層強くなります。
つまりワセリンで対応しきれるほどの症状ではないため、皮膚科でのステロイド外用薬や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬でなければ治療できません。
つまり軽微~軽度くらい、わかりやすく言えば肌に赤味があってかゆみがあったり、乾燥して粉を吹いていたりする症状にワセリンが有効といえます。
・お風呂上りに塗るポイント
お風呂上りは血行が良くなってかゆみが出やすいことに加え、入浴による発汗で全身が乾燥しやすい状態にあります。
顔の保湿は風呂上り直後である方が望ましいといわれているのですが、それをそのままワセリンにあてはめることは大きな間違いなのです。
顔用のスキンケアは肌に水分を与えてくれますが、ワセリンは油分が肌の保護膜になって水分の蒸発を防いでくれるためのものです。
つまりワセリンそのものには「保湿効果がない」ため、塗るタイミングを間違えると逆効果になります。
お風呂上り直後にワセリンを塗ると乾燥している肌を保持することになるので、かゆみだけでなくアトピーそのものが悪化することにもつながるのです。
そのためお風呂上がりにワセリンを塗るときは、水分を完全に拭き取ってからではなく、濡れた肌に塗ることがポイントです。
また、白色ワセリンは固く伸びが悪いため、濡れて温まった肌の方が伸びて塗りやすいというメリットもあります。
・塗り過ぎや長期間の使用は逆効果に
肌の乾燥から肌を保護してくれるワセリンですが、塗り過ぎや長期間塗り続けることで肌に刺激を与えたり、逆に肌が乾燥たりすることもあるのです。
ワセリンは石油から作られている油であるため、塗り過ぎると肌が密閉する状態になるので皮膚呼吸ができなくなってしまいます。
皮膚呼吸ができないということは汗や皮脂がでにくくなるため、肌の熱がこもってかゆみが起こることもあります。
加えて肌のバリア機能も回復できないため、アトピーが悪化する原因になるのです。
また、肌の保湿機能が働かないことで乾燥が一向に改善せず、一年中ワセリンが手放せない「ワセリン依存症」に陥る危険性もあります。
ワセリンは塗った2~3時間後には体温によって蒸発するのですが、依存症になるとこまめに塗り足してしまい、余計に肌が乾燥しアトピーが悪化してしまいます。
油であるワセリンを塗り過ぎてベタベタした肌は、それを洗い落とすためには念入りに肌を洗わないと簡単には落ちません。
そのため肌に刺激の強い高い洗浄力を持つボディーソープを使う羽目になり、肌に余計な刺激と乾燥が起きる原因を自ら作っていることになるのです。
つまりワセリンを塗り過ぎたり長期間使い続けたりすることは避けて、ひどい乾燥を感じたときのスペシャルケアとして「短期間の使用に留める」ことが重要です。
子供や赤ちゃんでもワセリンは使える?
ワセリンは石油に含まれる不純物を取り除いて、安全性が高く子供はもちろん赤ちゃんにも使えるのが特徴です。
もともとが肌に塗ることを前提に精製しているため、唇や口に入れても問題ありません。
ただし、子供や赤ちゃんに使用するワセリンは、不純物が少ない白色ワセリン、またそれ以上に精製されたプロペトなどを使用するようにしましょう。
しかし注意点として、白色ワセリンは固いため、無理に肌に塗り広げようとすると肌に直接刺激を与えるのと同じことになります。
デリケートな子供や赤ちゃんの肌に塗る前には、米粒1つ分くらいのワセリンを必ず手のひらで温めて、塗りやすくさせるひと手間を加えることが重要です。
特に赤ちゃんは汗を多くかくので肌が乾燥しやすく、肌に赤味や湿疹、かゆみがあらわれる「乳児湿疹」が生後2~3か月以降に起きやすくなります。
赤味がかっていて、かさかさに乾燥している乳児湿疹には、ワセリンを塗ることで肌の状態を改善する効果が期待できます。
しかし本来なら乳児湿疹は自然治癒するものですが、長期間その症状が続くのであればアトピー性皮膚炎の可能性があると考えられます。
ワセリンを塗っても症状が改善しないならば、すぐに使用を中止して医師の診察を受けるようにして下さい。
まとめ
ワセリンとアトピーの関係をご紹介しましたが、使い方を間違えると逆効果になるということがお分かりいただけたかと思います。
まずはアトピーの症状がどの程度なのかを見極めて、ワセリンを使っていいかを判断するようにしましょう。
そしてワセリンを塗る時の注意点を知っているといないのとでは、アトピーへの効果も格段に変わってきます。
つらいアトピーの症状を少しでも楽にするために、上手にワセリンを活用してみてはいかがでしょうか。
ライター名:mitsugu
オリジナルのメディアサイト運営者、兼新米Webライター。
分かりやすく読みやすい記事を読者様にお届けするため、日々勉強中です。